
The purpose of the book
This book is made with the help of many artisan volunteers.
Native translators were also happy to volunteer.
I hope this book, written in English and Japanese, will help you understand Japan!
本の趣旨
この本は、多くの職人ボランティアの助けを借りて作られています。
ネイティブ翻訳者も喜んでボランティアで協力してくれました。
英語と日本語で書かれたこの本が、国内外の皆さまの日本理解に役立ちますように!

Hyogushi / Fumio Nakajima
表具師 / 中島文雄

Roji gardener / Masayuki Ogawa
露地庭師 / 小河正行

Tiler / Prof. Masahisa Asada
瓦 職 / 浅田晶久

Textiles (komeori) / Junko Ebigase
織 物 / 海老ヶ瀬順子

Kakejiku and Byobu / Kashu Yabuta
掛軸と屏風 / 薮田夏秋

Sakan (Plasterer) / Tetsuya Hagino
左 官 / 萩野哲也

Tatami master / Hiroshi Motoyama
畳 士 / 本山浩史

No mask carver / Nyozan Umehara
能面師 / 梅原如山

Japanese embroidery / Yuri Nishimura
日本刺繍 / 西村由利

Kumihimo / Oshun Hasegawa
組 紐 / 長谷川往春

Wagashi (Japanese confection) / Hironori Takaya
和菓子 / 高家裕典

Tofu shop / Takemi & Megumi Tsutsumi
豆腐屋 / 堤武美・恵

Washoku (Japanese cuisine) / Masayuki Horimoto 和 食 / 堀本雅之

Cloisonne / Hiromi Nomura
七宝焼き / 野村ひろみ

Yuzen sculptor / Takeshi Nishimura
友禅彫刻 / 西村武志

Edokiriko (glass ware) / Kenji & Yuji Kadowaki
江戸切子 / 門脇健二・裕二

Hand-painted Yuzen dyeing / Kihachi Tabata
手描き友禅染 / 田畑喜八

Washi (Japanese paper) / Eriko Horiki
手漉き和紙 / 堀木エリ子

Bekko Isogai (tortoiseshell)/ Minoru,Tsuyoshi, Katsumi, Daisuke Isogai
ベッ甲/磯貝 實・克実・剛・大輔

Handmade tea can / Takahiro Yagi
手づくり茶筒 / 八木隆裕
季節がわからなくなってきている昨今、その手がかりとして日本の風につながる皆様に二十四節気の「暦だより」をBccで月二回配信しています。はじめに小話が入りますが、それも楽しみにしている方も多いようで、ここにコーナーを作りました。

1/小寒 新たな出会い
迎春 京都に来てから思いがけず山へ登る機会があります。留学生たちと伏見の稲荷山、宇治の裏山、上醍醐。水尾からの愛宕山、大山崎の天王山、西山の善峯寺も。銀閣寺から登った大文字の火床、そして先月は比叡山で偶然知合ったMさんと法然院から急坂を経て二度目の大文字へ。米国で日本語と日本文学を教えているルーマニア人の彼女は、今しばらくは京都で日常生活における古典文学の受容について研究中。皆様も今年はどんな出会いが待っているでしょうか?

2/大寒 蹴鞠保存会のおもてなしの心
毎年1月、下鴨神社では千年以上前に始まった蹴鞠が開催。今年は晴天でしたが、昨年は雨。鞠は鹿皮で雨は大敵。水たまりのある場での競技は跳ねで衣装もぐちゃぐちゃ。終わった後の平安装束の手入れはさぞ大変なことと思います。今年私の前にいた二人の話「バードウォッチングは4時間待っても鳥が来ないこともあるけど、1時間半待てば始めてくれるのでいいよね」と。待ち人の期待を裏切らない蹴鞠保存会の皆さんのおもてなし、心に染み入ります。

3/立春 冬はつとめて(早朝)がいい
大寒を過ぎた1月24日夕方から京都は予報通りの大雪。帰宅のバス待つ人影は横殴りの吹雪に次第に白さが増し、ついにその姿は見えず。その後も雪は続き、28日の朝は美しい樹氷。陽が出たら消えてしまうと慌てて雪靴で川べりへ。橋まで歩いた時、ユリカモメ(京都では都鳥と言います)の群れが飛来。青空、都鳥、樹氷と三拍子揃うことは滅多にない! そう言えば誰かさんが「冬は早朝がいい」と。枕草子でしたね(^^)

4/雨水 幽霊さまの指定席が増えるかも?
六本木のとあるBarは奥の一席が空いていて、客が座ろうとすると「ここは予約席」と。この店のある場は昔の墓地跡。どうやら幽霊さまの席らしい。両親の始めた御府内(東京)八十八ケ所霊場巡りの残りを引継ぎ、先日最後の港区を廻っていて、すざましい勢いの高層ビル化に合点がいった。檀家を失ったお寺はビルを建ててその中に入るか、朽ち果てるかの二者択一。今後も酒好きの幽霊さまの指定席が増えるかも(苦笑)

5/啓蟄 1,107回続く会
史迹(せき)美術、通称「史美会」があります。大正時代に建築家、庭師、仏像や石造美術などの専門家が集まって始まり、この人たちが文化財の修復などを手がけています。当然開会当時の人は亡くなり誰もいませんが、次世代また次世代と繋がり、毎月の例会が今月で1,107回とは驚き。私も会員の末席に加えて頂き、例会では非公開の部屋も入れ、国宝もお寺の人より詳しい説明付きです。帰る頃には高度な知識に頭の中は飽和状態(苦笑)

6/春分 そろそろ桜の季節
桜といえば江戸の飛鳥山。8代将軍吉宗が庶民の行楽のため桜を植えました。まだ桜の時期でないはずが、なんと!東京が全国に先駆けて開花。岩崎弥太郎が東京都へ寄贈の六義園でも見事な枝垂桜が待っていました。その翌日、神戸の酒造記念館ではきき酒しての花見。京都もそろそろ。法然院の家の墓の斜め前が九鬼周造の墓。その斜め上が谷崎潤一郎で、そこにある山桜を見るのが墓参りの楽しみです(^^)

7/清明 西行がいなければ俳句もなかった
西行がどこで亡くなったか長らく不明。それが江戸時代、西行を慕う似雲が南河内の笠置山の麓に探し当て、墳墓を造り側に桜を植えた。同じく西行を慕う芭蕉は奥の細道に旅立ち、和歌のはじめの3行を独立させて俳句を作った。今や世界に広がる俳句。「願はくは花の下にて春死なむ その如月の望月のころ」の歌碑を見ながら、西行がいなければ俳句もなかったと樹齢200年以上の桜の下で思いを馳せた。

8/穀雨 牛若くんが歩いているではないか!
叡山電鉄30分なのに、何故か貴船口から鞍馬へのハイキングコースは初めて。牛若丸(義経)が修行した木の根道は見応え十分。山道で出会う沢山の海外からの観光客、皆ここは素晴らしいと感激。本堂までたどり着けば、比叡山の山並みの絶景が待っていました。帰路の山を降り始めたら、お母さん手作りコスプレの可愛い牛若くんが歩いているではないか!

9/立夏 夏も近づく八十八夜
京都で一番小さな町、茶畑が日本遺産の和束町。JRと言えども田舎の方は15分遅れでも乗継ぎ電車が待ってくれる。次の1時間に1本のバスは無理だろうと思いきや、駅前にいるではないか! 乗客は他に2人だけ。誰もいない観光案内所でアンケートに答えたら千円の商品券をくれた。一軒ある茶カフェで休み、この商品券を使ってお土産まで買い200円とは申訳ない気持ちいっぱいの一日でした(^^)

10/小満 中山道に注目しています
最近、海外からの観光客は中山道に注目しています。交通の便が悪いために関所や宿場町の面影が残っているからです。25年頃前始まった香港の10泊11日のウォーキングツアー。定員12人に日本のしきたりを教えてくれる英語ガイド付。466,000円の値段にかかわらず真夏も真冬も満員御礼。ならばと、今年9冊目の日英併記の"Nakasendo"を出版。本を作りながら英泉と広重の浮世絵とともにこちらも旅をしています(笑)

11/芒種 有意義な修学旅行
長年住んでいた渋谷を詠んだ俳句。英語に力を入れている地元中学に英語俳句をプレゼント。それらは生徒玄関と3年生の廊下に掲示されています。5月末の修学旅行の最終日は班ごとに留学生が加わり、英語で一緒に京都観光のみならず、留学生の国のSDG'sに対する取り組みも聞く。6-7月には授業で「英語で俳句を創る」単元がある。有意義な修学旅行、いいですね(^^)

12/夏至 古代の風習の名残
若かりし頃、いえ今も古代史への興味は尽きません。古代の天皇が仙人のように超長生きで、ちょっと信じ難い。その後とある本に、昔は半年で一年だったと。さて、その名残が今も続いています。新年を迎える前の年末の大掃除。そして都会ではあまり見られない六月末の夏越の祓。一年の初めの年賀状と暑中見舞い。お歳暮とお中元。これらは半年が単位の古代の風習の名残です(^^)

13/小暑 人面をつけた鬼や蛇
以前、能面の本で協力して頂いた梅原如山先生が、5月に半世紀にわたる作品展を開催されました。ずらっと並んだ能面の下には奥様手作りの袋が並べられ、この見事な西陣織の袋も共に紹介した日英併記の本を6月に出版。改めて能面を見てみれば、嫉妬から般若、ついには人間味が全くなくなった蛇になる過程の表情の巧みさに感動! 世界には人面をつけた鬼や蛇のやからが多いです(怖い)

14/大暑 蘇民将来乃子孫なり
877年に疫病が流行し、秦氏が創建の八坂神社での疫病封じの祈りから祇園祭が始まったとのこと。八坂神社の祭神はスサノオノミコトことインドの守護神である牛頭(ゴズ)天王。スサノオの荒々しさと殺戮の話は、牛頭の「蘇民将来乃子孫なり」の護符のある家以外は許さない!という話と重なります。今も京都の家々の入口にはこの護符がよく飾ってあります。我が家にも(^^)

15/立秋 文人画の流れをくむ俳画
7代目小川治兵衛の作庭で山縣有朋の別荘だった国指定の名勝「無鄰菴」。現在は京都市所有で、その維持のため一般公開し活用を呼びかけています。それで微力ながらも協力。9月30日(土)ここの母屋2階に京都と東京の俳画教室の作品が並びます。文人画の流れをくむ俳画はをじっと見た市の担当者「この絵はいいですねぇ~」と(^^)

16/処暑 神様仏様と近い月
立秋前夜、50人の裸男たちが矢を奪い合う矢取神事は下鴨神社に室町時代から伝わる。亡き友三人の写経をして法然院の盂蘭盆会に参加。すべての部屋を開け放しての仏事は盛大なもの。その後は墓参り。台風で心配された五山送り火も無事終わり、明日は鞍馬のずっと奥の山村へ。1000本の松明が点火し20mの炎が上がる広河原の松上げは先祖供養も兼ねた八月の風物詩。今月の京都は神様仏様と近い月です(^^)

17/白露 ヤングケアラー
金閣寺へ向かうバスは90%は海外からの観光客。各国語が飛び交う車内のうるさいこと。突然「うぉ~」と大声に一瞬車内は静かに。少し間を開けてまた「うぉ~」に今度は全員が静まり、事情を理解した。声の主は中学生くらいの可愛い男の子。隣に少し年上の男の子。近くに障害者サービス施設がある。時々出会う他線のバスや地下鉄でも、隣には兄弟らしき人が同行。普通を装っていてもどんなにこのヤングケアラーは辛いだろう。頭が下がります。

18/秋分 スーパー84歳さま
史美会とは別の石造美術勉強会。準備には現地調査、訪問先との折衝、コース設定、チラシ告知、参加者募集、マイクロバス手配、昼食の予約。当日各地との確認、参加費徴収、資料配布、バス中でのガイド、関係先への支払い。これを腰の少し曲がった一人の女性がやっている。坂道では「誰か私の杖になってぇ~」とサポートを頼む。終った後は会報に報告文を、文責:〇〇で掲載。これを毎月一人でやっている、スゴ~~イ!!

19/寒露 無鄰菴から先斗町
9月30日の無鄰菴での展示会が無事終了。来場者は京都はもちろんのこと、東京から5人、兵庫や留学生など40名近くでした。会場の母屋は同時に20人までという制限がありますが、何とか重量クリア(笑)お越し頂いた皆様、文化財維持にご協力をありがとうございました!! 打ち上げは先斗町の高床で。中秋の名月の翌日の月見は食事会が終わった頃でした。

20/霜降 紫式部さん、ありがとう!
先日通りかかった紫式部のお墓、お参りしながらふと思った。平安時代に中国から輸入された漢字。その音を使って日本語を書き表したのが古事記など。しかし当時の女性たちは漢字学習は強要されなかった。その立場を利用して漢字をやさしく自由に作り変えたのが「ひらがな」。これをフルに使って著された源氏物語などの王朝文学。彼女等の遊び心がなければ日本語は漢字だけだったとは。紫式部さん、ありがとう!

21/立冬 魂を揺さぶる太鼓
能登の小さな漁村、現在は名舟町。ここに上杉謙信の軍勢が余勢をかって攻め込んだ。村の古老の知恵で、樹の皮で仮面を作り、海藻を頭髪とし、太鼓を打ち鳴らしながら夜襲をかけた。この鬼のような怪物に慌てふためいた上杉勢は戦わずして退散した。これが御陣乗太鼓で石川県指定無形文化財。古典の日の演目で京都で思いもかけず、魂を揺さぶる太鼓に出会った。魂とは、鬼が云うと書く。

22/小雪 インバウンドの姿なき寺内町
信長に徹底的に破壊された石山の本願寺。しかし奈良に近い南の富田林の寺内町は残った。それが江戸時代には交通の要所であったため、酒屋、油屋、木綿屋などの大きな町屋が並んだ。今は重要伝統的建造物群保存地区となり、地域の人たちによって守られている。未だインバウンドの姿がない貴重な町、ゆっくり散策できてよかった(^^)
