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季節がわからなくなってきている昨今、その手がかりとして日本の風につながる皆様に二十四節気の「暦だより」をBccで月二回配信しています。はじめに小話が入りますが、それも楽しみにしている方も多いようで、ここにコーナーを作りました。

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1/小寒 新たな出会い

迎春 京都に来てから思いがけず山へ登る機会があります。留学生たちと伏見の稲荷山、宇治の裏山、上醍醐。水尾からの愛宕山、大山崎の天王山、西山の善峯寺も。銀閣寺から登った大文字の火床、そして先月は比叡山で偶然知合ったMさんと法然院から急坂を経て二度目の大文字へ。米国で日本語と日本文学を教えているルーマニア人の彼女は、今しばらくは京都で日常生活における古典文学の受容について研究中。皆様も今年はどんな出会いが待っているでしょうか? 

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2/大寒 蹴鞠保存会のおもてなしの心

毎年1月、下鴨神社では千年以上前に始まった蹴鞠が開催。今年は晴天でしたが、昨年は雨。鞠は鹿皮で雨は大敵。水たまりのある場での競技は跳ねで衣装もぐちゃぐちゃ。終わった後の平安装束の手入れはさぞ大変なことと思います。今年私の前にいた二人の話「バードウォッチングは4時間待っても鳥が来ないこともあるけど、1時間半待てば始めてくれるのでいいよね」と。待ち人の期待を裏切らない蹴鞠保存会の皆さんのおもてなし、心に染み入ります。

3/立春 冬はつとめて(早朝)がいい

大寒を過ぎた1月24日夕方から京都は予報通りの大雪。帰宅のバス待つ人影は横殴りの吹雪に次第に白さが増し、ついにその姿は見えず。その後も雪は続き、28日の朝は美しい樹氷。陽が出たら消えてしまうと慌てて雪靴で川べりへ。橋まで歩いた時、ユリカモメ(京都では都鳥と言います)の群れが飛来。青空、都鳥、樹氷と三拍子揃うことは滅多にない! そう言えば誰かさんが「冬は早朝がいい」と。枕草子でしたね(^^)

4/雨水  幽霊さまの指定席が増えるかも?

六本木のとあるBarは奥の一席が空いていて、客が座ろうとすると「ここは予約席」と。この店のある場は昔の墓地跡。どうやら幽霊さまの席らしい。両親の始めた御府内(東京)八十八ケ所霊場巡りの残りを引継ぎ、先日最後の港区を廻っていて、すざましい勢いの高層ビル化に合点がいった。檀家を失ったお寺はビルを建ててその中に入るか、朽ち果てるかの二者択一。今後も酒好きの幽霊さまの指定席が増えるかも(苦笑)

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5/啓蟄 1,107回続く会

史迹(せき)美術、通称「史美会」があります。大正時代に建築家、庭師、仏像や石造美術などの専門家が集まって始まり、この人たちが文化財の修復などを手がけています。当然開会当時の人は亡くなり誰もいませんが、次世代また次世代と繋がり、毎月の例会が今月で1,107回とは驚き。私も会員の末席に加えて頂き、例会では非公開の部屋も入れ、国宝もお寺の人より詳しい説明付きです。帰る頃には高度な知識に頭の中は飽和状態(苦笑)

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6/春分 そろそろ桜の季節

桜といえば江戸の飛鳥山。8代将軍吉宗が庶民の行楽のため桜を植えました。まだ桜の時期でないはずが、なんと!東京が全国に先駆けて開花。岩崎弥太郎が東京都へ寄贈の六義園でも見事な枝垂桜が待っていました。その翌日、神戸の酒造記念館ではきき酒しての花見。京都もそろそろ。法然院の家の墓の斜め前が九鬼周造の墓。その斜め上が谷崎潤一郎で、そこにある山桜を見るのが墓参りの楽しみです(^^)

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7/清明 西行がいなければ俳句もなかった

西行がどこで亡くなったか長らく不明。それが江戸時代、西行を慕う似雲が南河内の笠置山の麓に探し当て、墳墓を造り側に桜を植えた。同じく西行を慕う芭蕉は奥の細道に旅立ち、和歌のはじめの3行を独立させて俳句を作った。今や世界に広がる俳句。「願はくは花の下にて春死なむ その如月の望月のころ」の歌碑を見ながら、西行がいなければ俳句もなかったと樹齢200年以上の桜の下で思いを馳せた。

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8/穀雨 牛若くんが歩いているではないか!

叡山電鉄30分なのに、何故か貴船口から鞍馬へのハイキングコースは初めて。牛若丸(義経)が修行した木の根道は見応え十分。山道で出会う沢山の海外からの観光客、皆ここは素晴らしいと感激。本堂までたどり着けば、比叡山の山並みの絶景が待っていました。帰路の山を降り始めたら、お母さん手作りコスプレの可愛い牛若くんが歩いているではないか!

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9/立夏 夏も近づく八十八夜

京都で一番小さな町、茶畑が日本遺産の和束町。JRと言えども田舎の方は15分遅れでも乗継ぎ電車が待ってくれる。次の1時間に1本のバスは無理だろうと思いきや、駅前にいるではないか! 乗客は他に2人だけ。誰もいない観光案内所でアンケートに答えたら千円の商品券をくれた。一軒ある茶カフェで休み、この商品券を使ってお土産まで買い200円とは申訳ない気持ちいっぱいの一日でした(^^)

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10/小満 中山道に注目しています

最近、海外からの観光客は中山道に注目しています。交通の便が悪いために関所や宿場町の面影が残っているからです。25年頃前始まった香港の10泊11日のウォーキングツアー。定員12人に日本のしきたりを教えてくれる英語ガイド付。466,000円の値段にかかわらず真夏も真冬も満員御礼。ならばと、今年9冊目の日英併記の"Nakasendo"を出版。本を作りながら英泉と広重の浮世絵とともにこちらも旅をしています(笑)

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11/芒種 有意義な修学旅行

長年住んでいた渋谷を詠んだ俳句。英語に力を入れている地元中学に英語俳句をプレゼント。それらは生徒玄関と3年生の廊下に掲示されています。5月末の修学旅行の最終日は班ごとに留学生が加わり、英語で一緒に京都観光のみならず、留学生の国のSDG'sに対する取り組みも聞く。6-7月には授業で「英語で俳句を創る」単元がある。有意義な修学旅行、いいですね(^^)

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