つづき1  思い違いいろいろ

 

京都にはおしゃれな人がいない

 

京都に引越して一ヶ月余り、東京から早速に母が葵祭にやってきた。一週間ほど泊まっていたので京都もあちこち見物できた。そして帰り際に言った。「京都っておしゃれな人がいないのね」。我らも薄々感じていたことだが、やっぱりそうか、と思った。たまにセンスのいい人がいると思って近づけば、東京からの観光客。家の前の高野川沿いを走るジョギングやウォーキングの人たちのファッションを見てもふつ~う。

 

では東京はどうかと言えば、走りはまあまあ?でもファッションだけは決めてる。皇居の廻りを走るランナーを見ると色のコーディネートや小物使いがうまい。何故か? と考えてみれば、東京はビジネスの町。平日の日中はスーツや革靴などきちっとした格好が基本。仕事前や後のジョギングでも、ラフな格好とはいえ、スニーカーやヘアーバンドはブランドもので決めている。場所柄を考えれば、走っている間に御得意さんに会うかも知れない。出勤途中でもこれは同じ。

 

原宿あたりで電車に乗ると、おしゃれを楽しもうとする若者に勢いを感じる。まだ発展途上の子も多いが(笑)時々ハッとするような洒落た子がいる。若い女の子がユニークな帽子を格好良く、それも自然にかぶっていて思わず見とれてしまう。年配者はどうかと言えば、例えば地下鉄の奥様二人組。アクセサリーも年相応にいいものを品良くつけ、ファッションのみならず会話にも隙がない。では男性はと言えば、そんなに美男子でなくても(失礼)よく見れば、なかなかコーディネートがいい。仕事に差し障りない範囲で自然に崩し、自分なりのファッションになっている。時に年配の男性の中にも本当におしゃれな人がいて、失礼にならない範囲で思わず振り返ってしまう。

東京マラソンの応援に行くには電車を乗り継いで出かけるので、京都のように普段着では出かけられない。東京は大都会という多くの目によってある程度緊張を強いられるが、それを逆手に取って、おしゃれを楽しむ人が多いかも知れない。

 

東京の友人曰く、京都に行ったら着物が着れていい、という大きな思い違いは私を含め四~五人。そして京都に行く時は着物を着ていく、と言った人も二~三人。そして和傘をさしている人も多いのでは? という勘違い。

 

東京時代の話。仕事柄、半蔵門の事務所には日本文化に関心のある人が集まってきた。皆で和傘の良さを広めようと「番傘倶楽部」を作って120人ほどのメンバーとともに、花見の時は皇居の廻りをぞろぞろと和傘で歩いていた。雨が降れば降ったでよし、晴れていれば桜吹雪としゃれてみましょうか? と遊んでいたのです。

白の番傘は普段使いで、雨音がパラパラと耳に心地よく、雨の日が楽しみだった。ある雨の日、家から出たすぐ角で小さな男の子を連れた親子とすれ違った。今となっては珍しい傘をその二人が見つめたので、にこっと返した。すると、その子が「カッコいい!」と傘を見つめているのです。そして次の角を曲がる時、何気なく振り返ったら、まだ見つめていた。それで傘を二度上に揚げ、返礼。あんなチビちゃんでもカッコいいものに魅かれるんだ、と思わせる小さな出来事だった。

話は戻って京都。夏の京都は聞きしに勝る暑さ。女性は帽子と日傘の二つがあるが、男性だって日傘が欲しいと思う。と思ったある日、夫曰く「今日、日傘さしている男を見た」と。その翌日私も見ました!  ついに日傘さす男が京都に登場!

 

着物は今の所諦めても、蛇の目の日傘は京都でも使っている。炎天のある日、御所の九条邸跡のお茶室公開の日、蛇の目の傘をさして出かけた。すると、その入口の係の人が「ステキな傘ですね!」とにこにこし、写真を撮らせてもらいたいと。その後、御所近くの蔵元見学に。入口で傘をたたみかけたら同じことを言われた。逆でしょう?  伝統文化を守っている京都の人たちこそ、もっと和傘を使ってほしいのに!!  これでは私一人が目立ってしまうぅ~。勝手に京都に対するイメージを作り上げてしまった東京方面の人が悪いと言えばそれまでですが・・・。

 

さて白足袋族は別として、何故普通の京都の人は和傘をさす人やおしゃれな人がいないのだろう? と考えてみた。どうやらこれにはいくつか理由がありそうだ。

 

一つは地形からくるもの。周りをなだらかな山に囲まれている京都の人は、よくハイキングや山登りをする様子。休日には出町柳駅が集合場所なのか?高野川沿いをぞろぞろぞろぞろ、二百人ほどの行列も何度か見た。また鴨川沿いもジョギングやウォーキングには最適な場所。私もよく歩いて、帰宅すると靴は土ぼこりで真っ白に。

 

更に京都は自転車の町。雨の日風の日、炎天の日。雨の日のカッパ姿や最近では傘を立てる器具まである。風の日は帽子を飛ばされないようにゴム紐付きで。炎天には日差しを避けるキャディーさんのような帽子に肘までカバーする手袋。そして女性も配達などでバイクやカブに乗っている。それにはヘルメットもかぶらなければならない。冬の京都は本当に寒く、バイクに乗る知人もオールオーバーの防寒着を着込んでいる。つまり京都はおしゃれより機能優先、アウトドアのファッションの町だ、ということに気がついた! 

 

そしてもう一つが京都の地域社会。そう「いけず」にありそうだ。派手は嫌われ、地味を好む社会では目立つこと、浮いたファッションは御法度なのかも知れない。それを裏付けるような今年のデータがある。全国でいじめがトップなのが京都。特に小学校が多い。他の地方からの子供の多くが経験したようだ。

京都の坊さん、太っている

 

京都に引越してきた頃、タイミングよく京都関連のテレビ番組が多かった。福本清三の「至福の京都ふらり散歩」、船越英一郎の「京都の極み」、椎名吉平の「悠久の旅」、高島礼子の「日本の古都ーその絶景に歴史あり」、藤真理子の「京都国宝ロマン」 、尾上松也の「古地図散歩」、橋之助の「京ぶらりー歴史探訪」など。 これらの番組を見て気付いたことがあった。たまたまかもしれないが、太った坊さんが多いということ。(そうでない方、ごめんなさい)

また本屋へ行っては京都関連の本も二十冊近く買ってきた。その中の「京都嫌い」に坊さんのことが書いてあった。今、祇園をささえているのは白足袋族とのこと。当然僧侶も入る。

 

それを読んだ後日、ある大本山の敷地内にあるレストランに入った。昼も一段落して広い店内には我ら夫婦とあと二~三組。私は背中で気付かなかったが・・・

夫「さっきからずぅ~と見てるけど、あそこの坊さんたち昼間からビール飲んで楽しくやっているよ」

私「えぇ~?」と振り向けば、店員さんが追加?のビールをお盆に乗せていた。

しばらくすると窓の外に大型バスが停まり、ぞろぞろ頭を丸めた団体が出てきた。そのバスが何台も停まると、先ほどのビールの坊さんたち、腰をあげ出迎えに出ていった。

また別の日、あるホテルのバーに寄った。またまた私は背中で気付かなかったが・・・

夫「あの団体、結構盛り上がっているよ、ちょっと暗くて分からないけど、多分坊さんだよ。あっ、帰るよ」と言うので振り返ってみれば、確かに五人ほど全員頭を丸めていた。

 

京都は大本山や総本山が多く、全国の末寺からの参拝や研修の僧侶も多いと聞く。その頻度が高ければ高いほどご接待の回数も増え、立派な体格になってしまった、ということでしょうか?(笑)

東京にも数は少ないが大本山(総本山)があるが、立派な体格が京都ほど目立たない。京都はコンパクトシティーなので接待の場が近く、町の人の目にも触れやすいということかも知れない。

徳川幕府が再建した多くの寺があった

 

京都の寺社の多くは何度も破壊や焼失にあっている。それでもその多くが再建されている。清水寺は奈良末期に始まり、平安遷都間もない頃、坂上田村麻呂が仏殿を建立したと伝えられている。寺の人曰く「清水寺の一番スゴイところは、比叡山の僧兵による破壊、落雷による火災、応仁の乱など記録に残るだけで九~十回の焼失があったと。それにもかかわらず毎回再建され、最後は徳川家光の寄進によって再建された」と。

 

家康が建てた、あるいは修復、拡大して再建した建造物は二条城、東本願寺、知恩院、仁和寺がある。そのスケールの大きさは行ってみれば一目瞭然。世界遺産の二条城や仁和寺は国内外からの客の観光スポット。江戸時代に再建されたと修学旅行で説明を聞いたのかも知れないが、京都に来て初めて知ったも同然(苦笑)。

政治の中心を江戸に遷した家康が心配したのは、全国に散らばる寺院勢力。これを大本山や総本山を京都に集め、総括して管理をしていたとのこと。立派な本山が立ち並ぶ訳が分かった。

そして皇族や公家が住職の門跡寺院というものがあるのも知った。これらのいくつかに行ってみて、雅なお宝がある理由もこれで分かった。

 

また「京都嫌い」の本にあった、お寺の果たした役割の大きさにも気付かされた。お寺には宿泊施設が設けられている。その施設の「おもてなし」としての日本庭園、和食や茶道などの日本文化のルーツにお寺が大いに関わったという、新しい視点を教えられた。

 

京都に住むと、よくお坊さんが袈裟姿でスクーターに乗っている姿を見かける。本屋に行けば、東京では見られないお坊さんが書いた本が何冊も並んでいる。法然院にある我が家のお墓も近い。更に一年中、どこかしこの寺で特別公開がある。せっかくの機会だと、東京からの友人たちともよく見に行く。東京にいた時には考えられほど、今お寺は身近。

​                                                                                                                      

京都では手料理は失礼

 

京都生活も少し落ち着いた頃、知人を家に招待した。これからお世話になる方々なので手料理の昼食をさしあげた。しばらく後で読んだ京都本の中に「京都では手料理は失礼」とあり、またびっくり!! その本には「仕出しならば、仮に客の好みに合わなくても失礼にはならない」とのこと。

西欧では人を家に招くのが最高のおもてなし、しかも手料理で。私が海外出張でロンドンへ行った時、相手先の出版社のマネージャーが休みの日、家に招いてくれた。もちろん彼女の手料理で。十日間いたオランダでも友達のご主人が毎日手料理をご馳走。メキシコしかりアメリカしかりで、京都のやり方に本当に驚いた。東京でも極たまに外から買ってきたものを出す時があった。そんな時は「忙しくて」と言い訳しながら。招かれた客も「あっ、そぉ」と手料理の時の喜び方とは明らかに違う。

六年前京都に移り住んだ知人の話。新居に近所の人たちをお茶に招いたら皆来たと。でも周りの家には、誰一人招いてもらったことはないと。 

また別の知人の話。「ぶぶづけでもどうぞ」は今はコーヒーに変わっている。彼女が帰ろうとしたら「今コーヒーを入れていますから」と言うので待っていたが、待てど暮らせどコーヒーは出てこない。「あぁ~これか」と彼女は悟ったと。

 

若い人やアーティスト、そして国際感覚のある人は別として、どうやら京都は家に食事には招かない方がよさそうだ。改めて、京都は仕出し文化が栄えるのに納得。

 

 

 

 

つづきを書こうと思いましたが、あまりに長くなりますので以下の目次をご覧頂き
ご興味があればKindleの電子書籍をどうぞ!

東京人が見た京都 京都から見た東京

 

ま え が き

 

第一章 思い違いいろいろ

        京都にはおしゃれな人がいない

        京都の坊さん、太っている

        徳川幕府が再建した多くの寺があった

        京都では手料理は失礼

        一寸法師の真実

 

第二章 京都の町、東京の町

        京都に大きな池があった

        東京の地形は七つの大地

        頭の中は時代が行ったり来たりの京都

        東京の歴史は門、谷、山、川にあり

        京都にないものに感激!

        変化を続ける町、東京

        多様な顔を持つ京都の町

 

第三章 生活リズムあれこれ

        スローで自己中の京都    

        スピィデーな対応の東京

        交通機関が独立独歩の京都

        東京の通勤は流れに身を任す

        乗り入れだらけの東京

        複雑怪奇の京都のバス路線

        バスの切符が改善されてヨカッタ!!

        よく遅れるバスでもいいところがある

        車のマナーの違い

        春の朝の定点観測

 

第四章 文化誕生の現場が見られる京都

        ブランド野菜力を作り出す京都の底力

        文化とは、どうして生まれてきたのだろう?

        文化が育つ仕組み

        キーパーソンを支えるスポンサーの多様化

        神社と寺、文化の関わり方の違い

        日本の文化財維持の一つの形

        新たな文化が生まれる京都

         

第五章 京の笑い、大阪の笑い、そして東京は?

         東京人には笑いでも関西では真面目??

        関東じゃありえない県民対抗番組

        京都の笑いは大阪の笑いと質が違う?

        京都人と大阪人のタテマエと本音

        会話がかみあわない大阪人と東京人

        東京人を代表して小話ひとつ

        おちょくりが好きな江戸っ子

 

第六章 京都で見かける外国人

        友達の友達がやってくる

        京都でみかける外国人のグループ分け

        海外からの客がいなければ成り立たない場所

        東京で見かける外国人は?

        交通網を頭にいれないと観光客に親切にできない

        さらに欲を言えば・・・

 

第七章  日本文化の可能性

        日本人の文化度

        日本文化の可能性

        日本の俳句と世界の俳句

        実験その一 筆グラフィー

        実験その二 江戸人倶楽部

        長~い熟成期間を経ている伝統文化

 

あとがき

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